コラム

Googleの悪い口コミ、返信か削除依頼か。星1つが付いた日にサロンが決めておく順番

閉店後、受付のタブレットで Google マップを開くと、店の評価の下に新しい口コミが1件増えている。星は1つで、「予約の時間に行ったのに30分待たされた。説明もなかった。もう行きません」とある。返信を書くか、Google に消してもらうかで、その場で手が止まる場面です。

返信するか削除を頼むかは、その口コミがどの種類かを見分けてから決められます。Google ビジネス プロフィールのヘルプと総務省の案内を確認し(2026年10月9日時点)、星1つが付いた日にサロンでは何をどの順番で決めるかを整理しました。

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通常の報告で消えるのはポリシー違反だけ。違反でない口コミは返信で受け止める

Google のヘルプは、通常の報告で削除の対象になるのはポリシーに違反している口コミだけで、内容への不満だけでは報告しないよう求めています。星1つが付いたら、まず「事実の指摘」「感じ方の違い」「ポリシー違反の疑い」に仕分け、前の2つは返信で、3つ目は報告で扱います。削除と引き換えにお金を求められたときや、名誉・プライバシーを傷つけると考えるときには、別の窓口があります。

星1つが付いた日にやらない3つのこと ─ 感情のままの返信、特典と引き換えの削除、身内の高評価

口コミに気づいてから最初の数時間で動いたことには、あとから取り消せないものが混じります。星1つが付いた日には、次の3つをしません。

  • ・感情のままの返信: 返信は Google の審査(通常10分以内、長いと30日ほど)を通って公開されます。あとから編集や削除はできますが、公開された時点で書いた人に通知が届き、消すまではほかのお客様も読めます
  • ・割引や無料の施術と引き換えに、削除や書き換えを頼むこと: Google のポリシーは、否定的な口コミの修正や削除と引き換えに、金銭的報酬・割引・無料の商品やサービスといったインセンティブを出すことを、販売者に禁じています
  • ・スタッフや家族、知人の高評価で星1つを下へ押し流すこと: 同じポリシーは、雇用関係や家族関係など利益相反に当たる人の投稿と、肯定的な口コミだけを選んで募ることを、評価の操作として挙げています

Google のヘルプによると、口コミを書いた人は、返信を読んだあとでも口コミを変更できます。特典と口コミの関係は、6月12日の『美容サロンで「口コミ特典」をあげてはいけない理由』でもお伝えしました。この3つを避けたうえで、目の前の口コミがどの種類かを見分けます。

返信か報告かを決める仕分け ─ 事実の指摘・感じ方の違い・ポリシー違反の疑い

Google のヘルプは、どの口コミでも報告はできるものの、削除の対象になるのはポリシーに違反している口コミだけだと書いています。内容に不満がある、気に入らないという理由だけで報告しないよう求め、Google は事業者とユーザーの間の紛争には関与しないとしています。ポリシーには「不快な体験でも、節度や尊敬の念を持って表現しているコンテンツは許可されます」という一文もあります。

そこで、星1つの口コミを開いたら、次の3つのどれに近いかを先に決めます。

仕分け口コミの例次にすること
事実の指摘予約の時間から30分待った/説明された色と仕上がりが違った予約表やカルテで当日の流れを確かめ、返信で受け止める。報告はしない
感じ方の違い思っていたより短く切られた/値段のわりに普通だった返信で店の考えと、対応できること・できないことを伝える
ポリシー違反の疑い来店していないと考える理由がある/元スタッフや競合店からと考える理由がある/スタッフを名指しで脅す・晒す/根拠のない犯罪の話返信より先に、画面を保存して Google に報告する

冒頭の「30分待たされた」は「事実の指摘」です。「事実の指摘」と「感じ方の違い」はどちらも返信で受け止める口コミで、違いは店の記録で確かめられるかどうかにあります。予約表で待ち時間が出ていたと分かれば、お詫びと改める点を書けますし、好みの違いなら、店の考えと次回できることを書きます。

「ポリシー違反の疑い」に当たるかどうかを決めるのは Google です。ポリシーには、実体験に基づかない投稿、現在または過去の雇用関係や業界の競合など利益相反に当たる人の投稿、具体的な脅迫や晒し行為、非倫理的な行動や犯罪行為についての根拠のない主張、同意なく他人の氏名や顔を載せた投稿が、禁止または制限されるものとして並んでいます。当てはまりそうに見えても、サロン側が返信で「違反です」と言い切ることはしません。

返信に書かないこと・書けること ─ 来店の記録は返信に載せない

「事実の指摘」と「感じ方の違い」に仕分けた口コミには返信を書きます。Google の「否定的なクチコミに有益な回答を返す」のヒントは、まず、口コミを書いた人の個人情報を公開したり、個人的に攻撃したりしないよう求めています。そのうえで、訪問の記録を確かめること、店に非が無い点では責任を負わず、いま対応できることとできないことを説明すること、必要に応じて謝罪することを挙げています。

サロンに置き換えると、予約表やカルテで当日の流れを確かめるのは返信の前の作業で、確かめた中身を返信に書くのとは別です。口コミに書かれていない来店日やメニュー、担当者の名前を返信に入れると、誰がいつ何をしたかを、ほかの読み手にまで知らせることになります。

返信に書かないこと

・口コミに書かれていない来店日・メニュー・担当者名など、予約表やカルテから分かること
・「◯日にご来店の方ですね」のように、書いた人を言い当てる文
・反論、言い訳、書いた人への非難
・次回の割引や無料の施術の申し出

返信に書けること

・口コミを書いてくれたことへのお礼と、不快な思いをさせた点へのお詫び(必要なとき)
・店として改めること、対応できることとできないこと
・詳しく伺うための店の電話番号かメール(書いた人から連絡してもらうお願い)
・返信した人の名前かイニシャル

冒頭の口コミで、予約表から待ち時間が出ていたと確かめられたなら、返信はたとえば「お待たせしたうえ、ご説明もできず申し訳ありませんでした。予約の入れ方を見直し、お待たせするときは先にお伝えするよう改めます。詳しくお聞かせいただける場合は、お手数ですが店までお電話ください」のような形になります。来店日やメニューには触れず、最後に返信した人の名前かイニシャルを添えます。

言い訳をせず次回どうするかを書く、という文面の整え方は、4月13日の『口コミ返信で「また行きたい」と思わせる書き方』でお伝えしました。Google のヒントには、口コミを書いた人はすでに顧客なので、返信でお得な情報やプロモーションを示す必要はないという一文もあります。星1つへの返信では次回の割引も添えません。割引を添えると、特典と引き換えに口コミの書き換えを頼む形と見分けがつかなくなるためです。

AIに返信の下書きを頼むときに渡すもの ─ カルテと氏名は入れない

返信の下書きは、AI に手伝ってもらえる作業です。星1つへの返信は気持ちが波立った当日に書く文章なので、AI の下書きを挟むと、自分の言葉で言い返す前に一度、別の文面を読めます。渡すのは、口コミとして公開されている文面と、ここまでに決めたことです。

fact_checkAIに渡すもの・渡さないもの

  • ・渡す: 口コミの本文(公開されている文面。スタッフやほかのお客様の名前が書かれていれば伏せる)
  • ・渡す: 仕分けの結果(事実の指摘か、感じ方の違いか)
  • ・渡す: 店として改めること、対応できることとできないこと
  • ・渡す: 連絡を受ける店の電話番号かメール、返信する人の名前かイニシャル、文字数の目安
  • ・渡さない: お客様の氏名・電話番号・カルテ・予約履歴・施術の記録
  • ・渡さない: 担当スタッフへの評価や、店の中での処分の話

依頼の文の先頭には、Google のヒントにある「個人情報を公開しない・個人的に攻撃しない」と、ポリシーにあるインセンティブの禁止から、「書いた人を言い当てない」「反論しない」「割引や無料の申し出を入れない」の3つを書いておきます。上がってきた下書きは、口コミに書かれていない来店日やメニューが足されていないか、店の記録と違うお詫びや約束が入っていないかを読み返してから、返信の欄に貼ります。ここまでが返信で受け止める口コミの扱いで、「ポリシー違反の疑い」の口コミは返信の前に報告へ進みます。

報告と削除の申出の流れ ─ 審査は通常数日、再審査請求は1回だけ

「ポリシー違反の疑い」に仕分けた口コミは、返信より先に報告します。ヘルプの手順は、ビジネス プロフィールを開き、[クチコミを読む]から該当する口コミの横の[報告]を選び、理由(例として「スパム」「冒とく的な表現」)を選んで送る流れです。審査には通常数日かかり、届けた報告の状況は「クチコミ管理ツール」で確かめられます。表示は次の3つです。

  • ・「判定待ち」: まだ審査されていない。結果を待つ
  • ・「審査完了 - ポリシー違反なし」: 違反が見つからなかった。不服なら1回限りの再審査請求を出し、出さないなら返信に切り替える
  • ・「エスカレーション済み - メールで最新情報をご確認ください」: 再審査請求を出したあとの表示。最終的な結果はメールで届く

結果が出るまでの数日に返信をどうするかは、ここで確認したヘルプのページには書かれていません。返信するなら、ポリシー違反だと言い切る文や反論は書かず、店の連絡先を伝える短い文にとどめます。削除と引き換えに金銭を求められている口コミには返信せず、次の章の手順に進みます。

再審査請求は1回限りで、選べる口コミは10件までです。報告の画面では理由を選ぶだけですが、再審査請求ではフォームに情報を書き込みます。出す前に、口コミの画面のスクリーンショット、投稿に気づいた日時、ポリシーのどの項目に当たると考えるかを、閉店後の時間にまとめておきます。

審査で違反なしとなった口コミは公開されたまま残ります。そのときは「事実の指摘」か「感じ方の違い」として扱い直し、返信で受け止めます。

削除と引き換えに金銭を求められたとき ─ 恐喝の報告と残す証拠

通常の報告では足りない場面が2つあります。1つは、星1つや2つの口コミが急に増え、そのあとで削除と引き換えに金銭やサービスを求める連絡が来る場合です。Google はこれを「否定的なクチコミによる恐喝詐欺」と呼び、相手とやり取りしない、支払わない、証拠をすぐに集める、専用のフォームで報告する、と案内しています。フォームに添える証拠として挙がっているのは、次のようなものです。

  • ・要求の連絡のスクリーンショット(できる限り、日時と送り主の連絡先が分かるもの)
  • ・問題の口コミへのリンク
  • ・要求してきた相手の名前・メールアドレス・電話番号など
  • ・低評価が増えたと最初に気づいた日時と、要求を最初に受けた日時

名誉やプライバシーを傷つける口コミ ─ 法的な削除の申出と相談窓口

もう1つは、口コミが店やスタッフの名誉やプライバシーを傷つけていると考える場合です。総務省の案内は、自分の権利を侵害する情報(プライバシー侵害や名誉毀損など)について、権利を侵害された本人か代理人(弁護士など)からサイトの管理者に削除を依頼できるとしています。スタッフ個人の名誉やプライバシーに関わる口コミなら、申し出るのはそのスタッフ本人かその代理人です。

Google には、法律に違反する、または権利を侵害すると考えるコンテンツを知らせる「法的な理由でコンテンツを報告する」窓口があります。その窓口のページには、受け取った法的な通知の写しが Lumen という外部の調査プロジェクトに送られ、公開されることがあるとも書かれています(送り手の電話番号やメールアドレスなどは除かれる)。手続きが分からないときの相談先として、総務省の案内には次の窓口が挙がっています。

  • ・違法・有害情報相談センター(総務省の支援事業。Webフォームのみで受付): 削除依頼の方法などの相談
  • ・法務省の人権擁護局: インターネット上の人権侵害の相談
  • ・弁護士: 書いた人を特定して損害賠償を求める発信者情報開示請求は「最終的には弁護士へご相談ください」とある

その口コミが法律上の権利侵害に当たるかどうかの判断は、こうした窓口と弁護士に委ねます。上の発信者情報開示請求は、2025年4月に名前が変わった「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(総務省の略称は情報流通プラットフォーム対処法)に基づく手続きです。同じ法律は総務省が指定した大規模な事業者に削除対応の迅速化などの義務も課していますが、同法第20条第1項に基づく指定の一覧で Google LLC の欄に参考として挙がっているサービスは YouTube で、Google マップは載っていません(2026年10月9日確認)。マップの口コミは、ここまでの報告と窓口の流れで進めます。

星1つが付いた日の順番のまとめ ─ 仕分け、返信か報告、窓口

  • ・① 感情のまま返信しない。特典と引き換えの削除や、身内の高評価で埋めることもしない
  • ・② 口コミを「事実の指摘」「感じ方の違い」「ポリシー違反の疑い」に仕分ける
  • ・③ 前の2つは、店の記録で確かめてから返信する。記録の中身とお客様の氏名は、返信にも AI への依頼にも書かない
  • ・④ ポリシー違反の疑いは報告し、違反なしとなって不服なら、1回限りの再審査請求を検討する
  • ・⑤ 金銭の要求や権利侵害が疑われるときは、Google の専用の窓口、違法・有害情報相談センター、法務省の人権擁護局、弁護士へ

閉店後に見つけた星1つの口コミも、この順に当てはめれば、その日のうちに返信か報告かを決められます。

よくある質問

予約の記録に名前が見当たらない人の口コミは、削除してもらえますか?
記録に名前が無いことだけでは、来店していないとは言い切れません。家族の名前で予約した人や、同伴で来店した人が書いている場合もあるためです。実体験に基づかないと考える理由がほかにもあれば、報告の画面で当てはまる理由を選んで送り、判断は Google に任せます。違反なしとなって不服なら、1回限りの再審査請求を送り、新しく開くフォームに情報を書き込みます。返信で「ご来店の記録がありません」と書くと、書いた人を疑う文がほかのお客様の目に残るので、返信には書きません。
返信したあとに、口コミが書き換えられました。どうすればいいですか?
書き換えられると、口コミに表示される日付が最新の変更日に変わります。店の返信は、ビジネス プロフィールの[クチコミを読む]から編集や削除ができるので、新しい内容に合わせて読み直し、話が食い違う部分があれば直します。
ホットペッパービューティーの口コミも、同じ基準で削除してもらえますか?
ここで確認したのは Google のポリシーとヘルプです。ホットペッパービューティーなどほかの媒体の口コミは、それぞれの運営会社の規約と窓口で扱いが決まります。Google の基準をそのまま当てはめず、掲載している媒体の規約と、サロン向けの問い合わせ窓口で確かめてください。

参考にした情報

口コミの返信と審査は Google ビジネス プロフィール ヘルプの「ユーザーからのクチコミを管理する」と「クチコミを増やすためのヒント」、恐喝の報告は「ビジネス プロフィールでの否定的なクチコミによる恐喝詐欺を報告する」、法的な申出は「法的な理由でコンテンツを報告する」で確認しました(2026年10月9日時点)。削除の依頼と相談先は総務省の「インターネット上の違法・有害情報に関してお困りの方へ」、窓口は違法・有害情報相談センターと法務省 人権擁護局のページです。

link出典

  • ・Google ビジネス プロフィール ヘルプ ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告するページを見る
  • ・Google マップユーザーの投稿コンテンツに関するポリシー 禁止または制限されているコンテンツページを見る
  • ・総務省 インターネット上の違法・有害情報に対する対応(情報流通プラットフォーム対処法)ページを見る
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